士業のゲイがキャリアを考える

総合商社総合職→不動産系士業とキャリアチェンジしてきたゲイが、自らキャリアに関する課題を徒然と書きます。

『海外駐在したいから!』商社/メーカーを受ける学生さん、ホンマに海外駐在したいですか。

この10月からジョブホップします。

 

ある士業の事務所に移ることになりました。

学生時代に勉強してた資格が奇跡的に社会人になってとれたのでそれを活かして、って感じです。

現在のブログタイトル『総合商社勤務のゲイがキャリアを考える』が適さなくなるので、そのうち変えないといけなくなりましたね。

 

退職理由として1番大きいのは、今付き合っている彼氏と自分が同時に数年間の海外勤務を示唆された、為です。

 

彼氏は同じく総合商社勤務で、もう入社四年目ですので、

実は今までにも彼氏が海外に短期(3ヶ月)で駐在していたことはありました。

※これは商社マンの感覚からすれば、長期の出張ですね。

 

 

さあ、ここで取れる手段を2人で少し相談してみました。

【目的】:2人で一緒にいる時間を確保する。

※そもそもなんで遠距離恋愛が折衷案にないのか、気になる方。当然の疑問ですが、ゲイの恋愛事情的に離れて付き合うってのは現実問題厳しいものがあります。この辺長いので割愛。

 

【手段①】:俺が退社。彼氏の駐在先へ、ついて行き現地採用される。

【手段②】:彼が退社。俺の駐在先に、彼氏がついてきて現地採用される。

【手段③】:2人とも退社。2人ともで、東京に残れる仕事を探す。

 

結果、3番目の手段をとることにしました。

結論を出すまで、そんなに時間を要すことはなかったと思います。30分くらい話して決めました。

 

最大の決め手になったのは、2人のキャリアプランも同時に確保できるから、です。

 

キャリアプランとして、もともと2人とも、ゲイである生涯今の会社に残ってキャリアを築けるとは思っていなかったですし、

『より専門性の高い分野へのジョブホップの契機と捉えよう』

ということになったんです。

 

次の業界を商社マンを労働者目線から対費用効果で比べると

正直、激務さが増すかもだし、年収も変わらないから労働のコスパは悪くなるけど。

それでも、パートナーと共に暮らしつつキャリアビジョンを確保できる道を、とりあえず俺は選びました。

 

 

さて、前置きが長くなりました。

今回俺が体験した

海外駐在に伴うパートナーのキャリア/ライフプランの問題は、ゲイのみに起こりうる問題ではないです。

むしろストレートの子達にこそ、発生しうる問題です。

 

これだけの情報だと、少し想像がしづらいと思うので、以下のケース問題のように考えてみましょう。

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あなた: 立派な大学を出て、総合商社に勤務する4年目の若手営業マン。付き合って結婚を考えている彼女がいます。

年収は額面で700万程度です。

 

彼女A:あなたと同い年の彼女も同じような大学を出て、東京の会社に勤務しています。

真面目な性格為、キャリアに対して真剣に向き合いプランを持って働いています。

年収は額面で400万程度です。

 

Q:ここであなたが5年程度の海外駐在を言い渡されます。果たしてあなたは彼女に何と言って、何を求めるでしょう。

 

※ここでは、便宜上彼女の方が年収が低いですか、問題の意図をわかりやすくする為です。女性蔑視ではないので、実際もっと稼げてんぞ!なめてんなよ!という女性会社員の方すみません。そういった方がいらっしゃることも存じております。

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20年前ですと、ここで彼女の像が以下の通りにすり替わっていたと思います。

 

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彼女B:女子大を出て、一般事務として勤務する彼女。周囲の友達と同じくいつか専門主婦になり、子供を育てることになるのだろうな、と漫然と考えている。

年収は280万円程度。

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彼女がこの像ですと、問題は発生しません。

所得の配分で言っても、キャリアのプランの観点で言っても、彼氏側に比重がありますから

最適解は

・彼女の側が退社

・彼女が彼氏についていき

・彼女の所得が不安定になる分、責任として結婚

でしょう。もし2人が共にいたければ。

 

しかし、今回のケース問題ではそうはいきません。

年収こそ商社ほどではなくとも、彼女は自身の仕事に誠実に向き合い、同世代と同じく賃金を稼いでいます。

 

つまり年収/キャリアプランのどちらの観点で見ても、明らかに彼氏に比重がある、という状態ではないのです。

 

考えてみれば当たり前です。総合職で働くことは楽でありません。

会社員として男女平等に、フェアに成果を求められる以上、誠実に会社と顧客に対峙することが求められる、辛く挑戦的な仕事です。

 

そんな道を選び取った彼女に対して、彼氏だからといってキャリアを強制するのは、年収が高かろうが、世間で社格か上であろうが、

正しいと言えるわけがありません。

何より彼女の気持ちに折り合いはつかないでしょう。

 

つまり、2人で共に過ごすと決めるなら、この問題に最適解などないのです。

どちらが、もしくはどちらも(僕たちのケースですね)

年収、勤務地などのキャリア、もしくはライフプランを変え、多くの場合は妥協して変更/選択するしかないのです。

 

※このケース問題の場合で言えば

現状の世間の状態を仮定条件に追加して長期的に考えると

彼女側が仕事をやめれば、大きな生活水準の低下を迎え、家計の所得が金銭的にキツくなる結果を迎えると思います。

 

なぜこの問題が起きるのか?

それは総合商社側が、総合商社勤務の男性総合職のパートナー像を"彼女B"で、想定しているから、だと俺は思います。

 

しかし現行の女性は、しっかりと働きキャリアに対して誠実に向き合っている方も多くいらっしゃいます。

そして、女性登用、利活用の進む現代において"彼女B"はもはや都市伝説に近い存在である

と商社に勤務する私ですら感じています。

 

※細かい計算のない直感的な議論ですが、人件費の観点でも、海外駐在員にバカバカしく高額な駐在インセンティブをだす分で

ローカルへの対応力の高い現地日本人を現地採用し、教育するコストを払っても十分お釣りがくる、と思えます。

海外インターン中に現地採用日本人の方と働いた実感ですが、パフォーマンスの観点でも、同様の数値が出せるかと。

 

この問題を、学生のうちから、ぜひ総合商社/物流/メーカー勤務を希望する学生さんには知っていてほしいものです。

 

そして

本当に自分が海外駐在したいのか

なぜ海外で働きたいなら現地採用されるのではダメなのか

期限付き/身分の保証付きの上で、海外勤務の体験をしたいから、なんて理由で海外勤務したいのか

 

ほんの少しだけ、そういうことを考えてみてほしいのです。

 

 

 

【ゲイ、もしくはバイの就活生に告ぐ】 合コンでもてそうだとかいう理由で会社を選ぶな

初めまして。

俺、現在日本の総合商社に勤務しておりますリーマンです。


生い立ちからサクッと来歴を以下に書きますと、

1991年 誕生

1997年 球技を始める。16年続けることになる。

2010年 私立大学入学 強豪体育会に入部

2013年 部活だけ明け暮れ、特に反省もせずに就浪 

             就活のネタ作りの為に海外で1年間インターン

2014年 なんとか総合商社に内定

2015年 不動産部隊で開発に従事


といった人生になってます。

概ね上記で私の人生は語り終えたかと思います。


まさに合コンに行けば、入れ食い間違いなし!の物件を自負した人生であります。最近、サーフィンとボルダリングを始めた私に死角はありません。


「趣味?えーとねー、 んー   最近はボルダリングとかしてるかな。 えっ、マジ?○○ちゃんも興味あったの? 俺でよかったら、教えるよ!全然! 今度の土日とかどう?


などのトークも展開できるよう、準備は万端です。


ただ1つゲイだということを除けば。


俺にとって最近苦痛なことは、業務後の合コンです。


入社して一ヶ月頃は、私も↑みたいな会話、やっていた気がします。

俺はノンケ(=非LGBT)っぽく振る舞えるんだぜ。オカマとはちげぇんだ。

なんて誰に向かって言ってるのかわからない、心の中での自慢を言いながら恵比寿の個室居酒屋で自尊心を養っていました。


22歳以下のゲイやバイは、まだ自分がLGBTに属するとはっきり自認できているケースは少ないと思います。

私自身がそうでしたし、ゲイ界隈では"ゲイゲイしい"(=女々しい)のはモテないので

LGBTを自認すると、"ゲイゲイし"くなってしまうのでは、という恐怖もあります。


そうした中で、私ももれなくそういった考えに捉われ

いかに"ノンケらしく振る舞えるか"

というスタンダードをもれなく就活に持ち込んだのでした。


合コンで女食えそうなところ、社格があって結婚するときに有利そうなところ、社会的安定がありそうなところ、

そういう"ノンケ"らしい基準で俺は会社を選びました。


内定して同期を見たとき、完璧にその基準での判断は成功していました。


随分と前同期に言われた台詞が印象的だったのですが

「風俗いかへんかったら、営業じゃねーから!」

そうなのです。同期や商社を志す人間にとって、いい女を抱くこと、合コンでモテること、欲望のほとぼりが冷める頃に社会的に印象の良い結婚をし、綺麗な嫁を貰って優秀な子供を育て、いい立地に持家を築くことがモチベーションの源泉なのです。

それを実現するための高い給与が必要なり、圧倒的激務を根底から支えています。


そう、ゲイの俺にとってはそれらは何1つモチベーションにはなりませんでした。

当然ですね。改めて理路整然と書くと笑えてきます。


この話を通して、言いたかったのは、以下の唯1つ。


22歳以下のゲイやバイは、まだ自分がLGBTに属するとはっきり自認できているケースは少ないと思います。

私自身がそうでしたし、ゲイ界隈では"ゲイゲイしい"(=女々しい)のはモテないので

LGBTを自認すると、"ゲイゲイし"くなってしまうのでは、という恐怖もあります。


でもね、それを就活のスタンダードにもちこむのはやめたほうがいい。

俺以外のゲイ/バイはこんなスタンダードで就活してないのかもしれないけど、

もし、こうしているゲイ/バイがいたら、じっくりと自己を見つめ直してみてください。


そうありたい自分と、本来の自分にギャップを抱えたまま新卒就活をするのは、よろしくなかったです。


そして、前述の一文に限って言えば、総合商社を受けようと思う学生の皆様に言えることでしょう。